英語は中学校の重要な必修科目だ。
その英語に関して、先日経産省が報告書を出した。
平成26年度「英語教育実施状況調査」の結果について
この内容が驚愕だ。
なんと、公立中学英語教師の7割以上が英語準1級(TOEIC730点)も持っていない。
(参照: 平成26年度「英語教育実施状況調査」中学校)
これはいくらなんでも、ひどい。
日本人が英語がうまくないのは、言語間の距離が遠いからだとか、話す機会が少ないとか、色々な理由はあるだろう。
でも、英語を教える先生のこの低レベルは、大問題だ。
現在、教師の役割は変わってきている。
一方的に知識をただ教えるだけの役割は減った一方で、生徒をどうモチベートするかなどが非常に大切になっている。
しかし、それは教師に当該科目に関する知識や運用能力が十分にあるという、前提があった上での議論だ。
そして、そもそもの話だが、教師の基準としてTOEIC730点で十分なのかと、不安になる。
中学の英語の先生は、英語を教えるプロの先生だ。
(参照: TOEICスコアとできることの目安)
これはTOEICのウェブサイトにあった、TOEICスコアとそのレベルでできることの目安だ。
英語の先生で飯を食っている人が、上から3段階目のレベルで満足していていいのだろうか?
正直、TOEIC730点レベルの英語力では、流暢なコミュニケーションには程遠いだろう。
しかも、70%以上の英語教師が、そのレベルにも達していないという現実。
文部科学省の今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~によれば、高校卒業時に高校生が目指すレベルは下記の通りだ。(太字部分は私が強調のために、編集)
高等学校卒業時に、生涯にわたり4技能を積極的に使えるようになる英語力を身に付けることを目指す。
あわせて、生徒の英語力の目標を設定し、調査による把握・分析を行い、きめ細かな指導改善・充実、生徒の学習意欲の向上につなげる。これまでに設定されている英語力の目標(中学校卒業段階:英検3級程度以上、高等学校卒業段階:英検準2級程度~2級程度以上を達成した中高生の割合50%)だけでなく、高校生の特性・進路等に応じて、高校卒業段階で、例えば英検2級から準1級、TOEFL iBT60点前後以上等を設定し、生徒の多様な英語力の把握・分析・改善を行うことが必要。
しかし、同じこの提言内の「教員養成と研修」の項目には、こう書いてある。
「第2期教育振興基本計画」(平成25年6月14日閣議決定)では英語教員に求められる英語力の目標(英検準1級程度又はTOEFL iBT80点程度以上等)を掲げており、上記の取組を通じて、養成段階における教員志望者の英語力をこうした水準にしていくことが望まれる。
【文部科学省「英語教育実施状況調査(H25)】
・公立学校の英語担当教員の英語力について、英検準1級以上、TOEFL iBT80点以上又はTOEIC730点以上の者の割合は、全国平均で、中学校で28%、高等学校で53%となっている。この値は都道府県により大きく異なっている。
つまり、目標として、高校卒業時に高校生に、準1級レベルの英語習得を掲げているにも関わらず、多くの英語教師がそのレベルの英語力を有していないのだ。
これで子どもや若者が英語ができるようになったら、すごい。
この背景には、英語が本当にできる人であればある程、英語教師をなかなか目指さないという現実があるのかもしれない。
もちろん英語教師の中にも、実力もあって、意識が高く、素晴らしい方はたくさんいると思う。
しかし、このデータで見る限り、日本人の英語の未来は今も厳しく、悲しい現実に直面したままだ。
教育に携わることは、カッコイイ。
そんな大人像を創っていくことが、現在求められているのではないだろうか。
アリヴェデルチッ!