ソーシャルメディア運用と、フェイスブックの価値のある「いいね!」

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こんなニュースを見た。

Facebook企業アカウントは楽天、ソフトバンク、Amazonがファン数トップ3

企業もフェイスブックページのいいね!(like)を集めることに必死だ。

事実、それを集めることが、うまいソーシャル運用だという文脈の話は多い。

でも、それが本当に大事なのだろうか?

fb

ただ企業のフェイスブックページにいいね!を集めることにどれだけ意味があるのか。

そもそもたくさんのいいね!をもらう目的は何なのだろうか?

その企業やブランドを好きになって欲しい、つまりブランドエンゲージメント(愛着とかファン作り、顧客との関係作り)を求めるならば、ただFBページにライクしてもらっても目的は達成しない。

私達生活者はちょっと好きとか、たまたま何かで見た、キャンペーンをやっていた、という些細な理由で、その企業にいいね!するかもしれない。

ただその後、そのFBページで更新されるフィードをどれ程見るか。

つまらない宣伝ばかりであればあるほど、その後にフィードを見ることはないだろう。一瞬の判断でFBページにはいいね!したが、それっきり見ないというフェイスブックページがほとんどではないだろうか。

ブランドへのエンゲージメントを求めるならば、当然それぞれのコメントに対する、いいね!の多さを一つの指標とするべきだ。

ツイッターのフォロワーみたいなもので、たとえフォロワーが100万人いても、実際にツイートを見ている人間が10人いなければ、その価値しかないのだ。フォロワーの人数も一つの指標だが、実際に見ている人数や、さらにはその10人の質も問われるところだろう。

fb number

この表は上の記事で、発表されたフェイスブックページのファン数ランキングと、平均いいね!数ランキングだ。

企業やブランドへのエンゲージメントという観点では、間違いなく「平均いいね!数」の方が大切だ。

ここでは同じ業種ということで、ANAとJALを比べてみたい。

この表では、どちらの数字もANAの方が高い。

だが重要なのは、その数字の量だけでなく、「全体のファン数」に対する「平均いいね!数」の割合だ。<(「平均いいね!数」/「全体のファン数」) ANAは0.78% JALは0.61% つまりANAの方が、しっかり顧客とエンゲージメントを高められていると言える。 ただこの2社の数字はとても高く、一般的にはどちらもソーシャル運用がうまい、お手本とする企業だと思う。 どちらのFBページも見ればわかるが、感情のこもってない固い企業情報ではなく、人の感情や温度が伝わるいいポストだ。だから多くのいいね!を得るのだ。 この平均いいね!数をみると、やはり圧倒的に強いのがディズニーランド。 平均いいね!数ランキングの企業の顔触れをみれば、本当にファン数が多い企業はこちらであることは明らかだ。

それに比べて、全体のファン数が2番のソフトバンク。こちらは平均いいね!数で、トップ20には入っていない。

試しにそのフェイスブックページを見てみると、宣伝やキャンペーンの企業色の強いポストばかり。これでは関係者以外いいね!しないだろう。

平均いいね!も1000程度で、ファン数に対するいいね!の数は、ANAの1/10でしかない。

ソフトバンクは色々なキャンペーンや人気のTVCMとの連動で、一旦は企業のフェイスブックにいいね!を集めたのだろう。

でも実際のフィードは誰も読んでいない。このままだと、一生懸命いいね!を集めても何の意味もない。

アマゾンや楽天など、フェイスブック運用の目的が、ネットからの購買であり、そのプロモーションとして使っているネット企業。目的がしっかりしていので、彼らは彼らでいい。

だがネットでの購買促進目的などではない、大企業は何のためにフェイスブックを使うのか。もう一度その目的をはっきり考えるべきだ。

ブランドエンゲージメント高めるならば、心の入った、感情のある人としての投稿が必要。

ただそういう投稿には、炎上リスクなど、色々なリスクがある。私も他の組織のソーシャルメディアを運用したことがあるが、リスクを考えると、「感情を表現したゆるい」ポストは、自分個人のツイートに比べて極端に難しい。

外注した広告代理店では、そんなリスクをとれないので、つまらないツイートしかできない。その企業の中の人間だって、大企業の一サラリーマンでは、なかなか難しい。固過ぎてもだめだが、企業ブランドに応じて、やわらか過ぎてもダメで、その調整が難しいのだ。そしてそれを考え過ぎると、ツイートできなくなる。

理想は、その企業のことを心から愛している、リスクがとれる社内の人がやるべきなのだ。

ソフトバンクのFacebookページの投稿はつまらないのに、なぜ孫さんのツイッターはあんなにも多くの人にフォローされて、反応があるのか。それは孫正義社長という、人間らしいツイートが魅力的であるからに他ならない。

フォローされている数や、フェイスブックページのいいね!の数は、ただ多ければいいというものではない。

表面的に多くても意味がない。

ソーシャルメディアは共感メディアだ。

カタい宣伝だけでなく、そこには人としての感情がのって、共感できるコミュニケーションが必要だ。

アリヴェデルチッ!