アメリカでUberを使用して、なぜアメリカでUberがここまで高評価なのかが、実感できた。
これは昨年の話だが、資金調達に際して、未上場のUberの評価額は400億ドルだ。
Uber、12億ドルの新たな資金調達を発表―会社評価額400億ドル
400億ドルって、日本円で5兆円近い価値があるということだ。
これがどれ程凄いかというと、今の日本企業の時価総額で比べると、全国トップ20に入る程価値があるのだ。
時価総額上位ランキング
では、Uberの何がそこまですごいのか。
ウーバーを具体的にどう使って、どう便利なのかは、以前書いた。
Uberは単なるタクシー会社ではない。
だから価値があって、評価が高い。
その革新的な特長をあげてみる。
●Uberの凄さはUber Xにあり
Uberの運転手はタクシーの運転手ではない。
Uber専門の運転手は今は多いが、Uberの運転手になることは、運転免許さえあれば、誰でも可能だ。
私たちのような一般生活者が空き時間を活用して、運転手となり、お小遣い稼ぎができることが革命的なのだ。
それがUberXというサービスだ。
アメリカ滞在中、Uberを数回使ったが、サンフランシスコで乗った最初の2人の運転手は、Uberをメインの仕事としている運転手だった。
最初の運転手はインドネシアから来た中国系の人で、「Uber専門で、しっかりお金が稼げる機会がある」と言っていた。
移民がNYでタクシーの運転手になるという典型的な先入観がある。
もはや移民でも誰でもどこでも、車と免許さえあれば、Uberで稼げるのだ。
もちろん空き時間のお小遣い稼ぎでもいいし、専門でやってもしっかり稼げる。
ロサンゼルスでも何回か乗ったが、1週間前に始めてバイト感覚でやっているという、移民でない白人のアメリカ人もいた。
●Uber Xはタクシーから雇用を奪ったわけではなく、新しいマーケットを創り出した
ではUberはタクシー業界の競合となって、戦っているのだろうか。
これは色々な議論があり、国や地域によって、yesでありnoだろう。
マンハッタンでは、タクシーと競合する。間違いない。
その一方で、ロサンゼルスではそうとは言えない。
ロサンゼルスで流しでタクシーを拾うなんていう芸当は不可能だ。
というよりマンハッタン以外では、流しでタクシーをつかまることは、アメリカではほぼ難しいだろう。
私はLAエリアでUberを利用したが、これまでタクシーを使うことがほとんどオプションになかったことを考えれば、Uberがタクシーのマーケットを食っているとは言えないだろう。
タクシーを読んだら30分かかって、高価な送迎料金がかかるが、UberXなら5分で到着して、送迎料金はかからない。
UberXは一般人を運転手に変えることで、新たなチャンスを創り出し、新しくて便利なサービスを提供しているのだ。
●割り勘もOK
同乗者でUberを使う人がいれば、UberXでは割り勘もボタン一つで簡単だ。
このキャプチャ下部を見て欲しい。実はUberには色々な種類があり、UberXの他に、大きい車や、ハイヤーのようにいい車を呼ぶこともできる。
もちろん、サービスに応じて、価格もあがる。
ただ私が乗った経験から言えば、どのUber車も新車のようにきれいだったし、サイズも日本から考えれば十分大きかったし(サーフやリンカーンなどもあった)、サービスも含め、UberXで十分満足のいくものだった。
●UberPool
Uberの提供サービスは場所によって異なる。
今度はこちらのキャプチャ下部を見て欲しい。
先ほどのLAでのUber画面になかった、Poolというメニューがある。
LAでのUberサービスはuberX uberXL プラス ブラック SUV ACCESSだったことに対し、SFではPOOL uberX SELECT UberBLACK TAXI ACCESSとメニューが違うのだ。
同じカリフォルニアでも地域によってサービスが違うのだ。
SFで特筆すべきはPoolだろう。
Poolは乗り合い乗車のことだ。同乗者が知り合いや仲間でなくても、同じところに行く人がいれば、その人と割り勘できるサービスだ。
SFのシティー内と違い、広大なLAの移動で同じところに移動したい他人がいることは奇跡に近いだろうから、確かにこれはLAではいらないサービスだろう。
●車を持っていなくても、UberやLyftのドライバーになれる
先ほど運転免許と車さえ持っていれば、ドライバーになって空き時間に稼げると言った。
だが、実は車を持っていなくても、稼げる。
UberやLyftなどのサービスで使う車すら、シェアで使える世界が来ているのだ。
このサービスなどは、いわゆるレンタカーだが、他人の車をレンタルする(使っていない間にシェアする)して、Uberや他のビジネスで使うことができる。
車を貸した方も、お小遣いになる。
物を所有するという世界から、それをシェアするという世界。
物を所有していても、それを使っていない時にシェアする世界。
そんな世界が来ているのだ。
UberはGoogleも出資しているので、Google mapを使えば、日本でも経路表示の下にUberが表示される。
これはUberにも大きなメリットのある提携だ。
スマホや位置情報がなければ、Uberというビジネスモデルも存在しなかった。
シェアリングエコノミー自体が、それなしでは存在しない。
流しでタクシーが拾える東京では、配車アプリもタクシー会社の方が優れていることもあり、正直Uberを使うメリットはない。
Uberが革命的で本当に高く評価されているのは、UberXというビジネスモデルだ。
そしてその便利なサービスが必要とされているのは、タクシーが便利な都市部ではなく、地方だろう。
日本ではまだまだチャレンジばかりだろうが、自動運転車が普及するまで、今後Uberのようなサービスが日本の地方でお年寄りの足となることを願う。
アリヴェデルチッ!