圧倒的な一番茶、知ってますか?
静岡といえば、お茶。
ということで、静岡でお茶農業を実際に見に行ってみた。
最近、東京にいる若い人の間でも、健康志向や田舎志向が強くなっているのを感じる。
直接の知り合いでは、実家でもない地方に移住したという人はまだいないが、そういう話もちらほら聞く。
畑と契約したり、週末に自分で農業をやる友人は確実に増えてきている。
あくせく都会で働くより、人間らしいゆとりのある、質として豊かな生活に、価値観がシフトしている人が増えている。
激烈に働いて、金をたくさん稼いで、大きな家をローンで買う。
20代や30代でそんな思考の人は、もはやマジョリティではない。
リーマンショックあたりで、金金で突っ走ってきた強欲な資本主義に愛想がつきて、自分達のなりの豊かな生活を求め始めているのかもしれない。
スローライフ、ロハス、物々交換などの交換経済や、自分で食べ物を作ったり交換すること、シェアエコノミーなどは、現代的な潮流だ。
私はこうした里山資本主義的な思想は嫌いでなく、共感できることも多い。
藻谷 浩介,NHK広島取材班 角川書店 2013-07-10
だからこそ、感情的な里山資本主義の共感だけでなく、地方、農業、少子高齢化の現実など、肌感として持っておきたいと思う。
さてさて、話を戻そう。
静岡県はいわずもがな、日本最大のお茶の生産地。
今回お邪魔した農家は、その静岡県のやぶきた茶農家。
お茶は水はけが良くて、日当たりがいい場所が生育に良いそうだ。
既に一番茶は収穫後だったが、今回は茶の収穫の様子も見せてもらった。
この機械の後ろの白い袋の中に、収穫されたお茶がどんどん入っていく。
お茶の木の高さも、作業しやすいように、この高さにしているとのこと。
本来はもっと高くなるみたい。
ちなみに写真の中で、電信柱に扇風機がついているような柱がたくさんあるが、これは防霜ファンとのこと。
茶葉にとって、霜は最大の敵で、それを防ぐためにあるようだ。
もちろん、この季節には必要ないので、自然風で回っているだけだった。
さて、このやぶきた茶は、年に4回の収穫時期がある。
4-5月に一番茶、その後6月に二番茶、7月に三番茶、10月に4番茶(秋冬茶)となる。
もっと温かいエリアであれば、4回以上の収穫も可能のようだ。
その中で、圧倒的に人気があり、収益があるのが、一番茶だ。
私が話を聞いた茶農家では、一番茶や二番茶、秋冬茶などで収穫量が同じでも、一番茶が利益の7割という圧倒的な割合だった。
一番茶こそ日本茶の醍醐味なんだね。
その一番茶を急須で飲んでなんぼ、というのがお茶の世界のようだ。
驚いたのは、ペットボトルの茶は一番茶二番茶ではないという話。
秋のガサガサした安いお茶ということだった。
そうなんだね。
でもペットボトルのお茶ばかり飲んでいる私に、その見分けつくだろうか。
実は、お茶農家の経営、存続が今や非常に厳しいという話があった。
そこには日本の地方や農業、高齢化など、既に迫っているリアルな現状を聞いた。
その一方で、詳しくは次回書こうと思うが、お茶市場自体は縮小している訳ではない。
だが急須で飲むような嗜好品としてのお茶は、市場が小さくなっているようだ。
私のように楽してペットボトルのお茶を飲む人は、嗜好品というより、日常生活の一部、日用品としてお茶を飲んでいる。
まずは急須を買うところから始めるかな。
アリヴェデルチッ!