2014年、インターネットの広告費が遂に、1兆円を超えた。
1兆円とか聞いてもよくわからん、と思うかもしれないが、ネット広告の金額と増加の勢いは凄まじい。
10年ほど前、新聞の広告費は1兆円で、インターネットはその1/4程度しかなかった。
しかし10年後の現在、立場は大きく逆転した。
インターネット広告費は1兆円に激増し、新聞はかろうじて6000億円を保つ状況だ。
(参照:媒体別広告費 電通 2014年 日本の広告費解説)
このグラフを見て欲しい。
テレビ、新聞、雑誌、ラジオが4大メディアと言われてた時代が懐かしい。
現実はテレビという最強メディアはまだその面目を保ち、その次にインターネットメディアという2強だ。
そしてその他の新聞、雑誌、ラジオなどのメディアが来るという状況になっている。
日本の人口が減り始めたことは、広告業界にとっても大きな痛手だ。
人口減少、GDP減少に伴い、全体的な広告費は減少していくだろう。
ここ10年、メディア別の広告費は増減が激しいが、全体の広告費として大体6兆円という市場は変わっていない。
TVが現状維持をなんとかしていて、インターネットが他のメディアを食っている、という状態だ。
自分の生活を振り返ってみても、10年前とは大きく変わっている。
インターネット常時接続が当たり前となり、そのためのデバイス、スマートフォンも普及した。
インターネット業界は広告も含め、まだ成長の余地は大いにあるだろう。
しかし広告という観点では、スマホ化は必ずしも良いことではない。
PCの大きい画面では見せられる広告が、スマホの小さい画面では少なくなったり、小さくならざるを得ない。
それはつまり、広告費の減少となる。
ただネット広告としては、全体的にはまだまだ成長するだろう。
媒体別広告費を見て驚くことは、新聞・雑誌・ラジオの広告費の減少だ。
特に新聞は激しい。
10年前に1兆円あった広告費は、現在は6000億円。
4000億円ものお金がなくなってしまったのだ。これは凄い金額だ。
こんな金額が業界としてなくなったにも関わらず、日本では新聞社が次々に潰れているというニュースを聞かないのは、正直驚きだ。
新聞社の利益構造がテレビと違い、広告費だけではなく、購読料もあるとはいえ、本当に厳しい状況だろう。
ただこのままいったら、どうなるだろうか。
あと10年後を考えてみると、何割の新聞社が生き残れるだろうか。
悠長に口先だけで、デジタル化とか言っている場合ではない。
一方で、世界的にインターネットの波にさらされた新聞社が、他のやり方で同程度収益化するビジネスモデルは開発されていない。
新聞業界は伝統があり、ある意味もっとも保守的なメディアだ。
その業界が生存の危機にさらされることで、最後の力を振り絞って新しく生まれ変われるかは注目だ。
新聞業界にたくさん友人がいる身ではあるが、会社の未来だけではなく、彼らは本気で自分のキャリアや人生について考える必要があるだろう。
自分の周りでは、メディアの仕事などといった特殊要因を除けば、紙の新聞をとっている人はほとんどいない。
かくいう私も新聞はネットで電子版を読むだけだ。
その下の世代には、新聞を読むという習慣はなくなっているだろう。
新聞は高齢者にリーチするメディアという立ち位置では、価値のあるメディアだ。
しかしこの層がいなくなった10年後、20年後はどうなるのだろう。
新聞でなくても、しっかりと取材をしてニュースを伝える、報道という仕事は必要だ。
インターネットで情報やニュースがタダなのが当たり前となってしまった現在、報道やメディアをどうサバイブさせるかは、皆に関わる問題だ。
アリヴェデルチッ!