LINEアプリ上からタクシーを呼ぶことができるタクシー配車サービス「LINE TAXI(ライン タクシー)」がリリースされた。
このアプリを使えば、タクシーを簡単に呼ぶことができ、どのタクシーがいつ着くのかもわかる。
決済もLINEでできるので、すぐに降車できる。
手軽といえば手軽だ。
しかし特に、新しいサービスではない。
中身としては、日本交通のタクシー配車アプリでも大して変わらないだろうし、来るタクシーも同じだろう。
でもLINEはすごい。本気でスマホのプラットホームを目指している。
タクシーアプリ以外にも、フリーマーケットアプリ(LINE MALL)や、フードデリバリーアプリ(LINE WOW)、決済(ラインペイ)からゲームまで、本当に幅広い。
まだどんどん出るだろう。LINEアプリは10億以上もダウンロードされている。このアプリのプラットホーム戦略は力強い。
メルカリで色々売って感じた、スマホ時代のショッピングで書いたが、スマホ中心の世界は、PCのインターネットの延長線上ではない。
メルカリは、ヤフオクをスマホでもただできるようにしたものとは、思想やデザインが違う。
ヤフーを含め、PCで圧倒的な力を持っていたサービスが、スマホで同じような力を持ちきれていないケースも多い。
逆にここはベンチャー企業に多くのチャンスとなっている。
PC世界の勝ち組は、その圧倒的な成功体験から、この2つの世界が全く違うことを感覚的につかみにくいのかもしれない。
タクシーの話に戻ろう。
こういうアプリでは世界的に有名なのが、Uber(ウーバー)だろう。
アメリカでは革命的なサービスで面白いだけに、日本ではただのタクシー配車アプリになっていて残念だ。
日本のUberは、ハイヤー、ちょっとグレード高いタクシー、普通のタクシーの3種類の配車アプリだ。
だがこれでは、日本交通などのタクシー会社のアプリとの違いがわからない。普通に考えたら、Uberを通さない方が、その手数料分、タクシーは安いだろう。
またLINEタクシーと戦って、集客力に勝るとも思えない。
そもそもUberのビジネスが革命的であるのは、まずその安さだと思う。
アメリカで展開されているUberXでは、アプリで安全・快適に使えるだけでなく、これまで以上に安く使えることが、このサービスの圧倒的な特長だ。
それは顧客にとって、素晴らしい価値だ。
白タクドライバーという、新たな雇用も生み出す。
アメリカのような大きな国では、東京都心などとは違い、多くの地域でタクシーを流しでひろうことは不可能だ。
その時にウーバーは大変役立つ。快適だ。安い。
しかしその革命的特長は日本では、生かされていない。
それはUber日本の経営の問題というよりは、政府の規制の問題かもしれない。
Uber Xのモデルは、タクシー免許などを持っていない一般人を事実上白タクとして使うので、色々な国で議論になっている。
アメリカでも色々困難はあったし、ヨーロッパでも議論を巻き起こしている。
そしてアジア。アジアはもっと厳しいようだ。
韓国ではウーバーのCEOが運輸法違反容疑で起訴されている。
この記事によると、台湾や中国も厳しく取り締まる予定らしい。
日本のUberは、ハイヤー会社やタクシー会社と提携しているだけだ。
ただそれでは元来のUberの革命性はないし、競合も厳しく、圧倒的な地位を築くのは難しいだろう。
このビジネスモデルの革新性に対するチャレンジは、ローカリゼーションかもしれない。
英語で革新的なビジネスを言う時に、しばしdisruptiveという単語を使う。
これを辞書で調べると「崩壊的な; 分裂的な; 混乱を起こさせる,破壊的な」と出てくる。
破壊的・革命的なモデルであるがゆえに、分裂や混乱を招く。
本当に顧客に大きな価値を提供するには、そしてUberがUberであるためには、この混乱をどう乗り越えて、革命性を保てるかがキーではないか。
アリヴェデルチッ!